コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」ことを創業以来の基本理念とし、グローバルにお客さまとより強固な信頼を築き、社会の発展に貢献できる先進製品を継続して開発・提供することで、中長期的に企業価値を高めていくことを目指しております。コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことは、経営の透明性、健全性や効率性を維持・向上することで当社の競争力の強化、ひいては持続的な成長の実現につながり、株主をはじめとするすべてのステークホルダー(利害関係者)のご期待にこたえるものと認識しております。

1. 企業統治の体制

(イ)次の(ロ)に記載する企業統治の体制を採用する理由

当社は、当社の人員および事業の規模、また実際の監査が機能していることに鑑み、監査役会設置会社の制度を維持しております。また、上記のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を背景に社外監査役に加えて社外取締役を選任するなど、企業の透明性、経営の健全性を高める施策を講ずるとともに、「内部統制基本方針」に即して、以下に記載する企業統治の体制を整備しております。

(ロ)企業統治の体制

コーポレート・ガバナンス体制概念図

コーポレート・ガバナンス体制概念図

取締役および取締役会その他執行機関等

取締役会は法令・定款で定められた事項のほか、事業計画の決定その他重要な業務に関する事項を決議し、取締役の職務執行を監督しております。取締役の任期は、各事業年度における取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制とするため1年としております。取締役会は迅速な経営判断ができるように毎月1回定例開催するほか、必要に応じて臨時に開催し、重要事項などの報告・決定を行っております。

当社は、2022年9月28日株主総会決議により、同日付で執行役員制度を導入しております。その目的は次の通りです:①経営の意思決定・監督機能を担う取締役会と業務執行を担う経営会議の役割分担を明確化し、コーポレートガバナンスをレベルアップ、②取締役会の員数を削減し社外取締役の比率を高めることで、経営の意思決定・監督機能を強化、③権限の委譲・見直しにより業務執行の機動性を高め、経営環境の変化に対してより迅速かつ柔軟に対応することで持続的な企業価値の向上を図る。

業務執行に係る重要案件については代表取締役の諮問機関として経営会議を設置しており、月1回開催しております。このことにより、案件の決定の適正化を支援するとともに業務執行の意思統一をはかっております。経営会議規定により、監査役および社外取締役の経営会議への出席権と意見陳述権を保障し、経営判断に対する監視・監督機能に漏れのない体制としております。

当社は、指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会の諮問範囲は次の通りです:社長、取締役、執行役員の選任、社内取締役および執行役員の個人評価、昇格・昇給、再任見送り・降格、後継者・候補者の選定・育成、報酬算出方法設定および報酬額妥当性確認。指名・報酬委員会は、社外取締役全員(現状は3名)、取締役会長執行役員、代表取締役社長執行役員により構成され、その議長は社外取締役から選出されます。社外取締役は全員が独立社外取締役であり、指名・報酬委員会の構成員は過半数が独立社外取締役となっております。前期(当社60期)において指名・報酬委員会は6回開催され、そのすべてに全員が出席しております。

監査役および監査役会

監査役会は監査役3名(定款では4名以内)で構成され、うち2名を社外監査役とし、法令・定款で定められた事項のほか、監査の方針、監査計画、監査の方法等を定め、各監査役の監査状況の報告、監査意見の形成などを行っております。監査役会は毎月1回(定例)開催するほか、必要に応じて臨時開催しております。また、監査役の要請により補助者を1名置いております。

スキル・マトリックス

当社は、経営戦略に照らして、取締役及び監査役が備えるべき知識・経験・能力を「企業経営」「研究開発・製造」「営業」「グローバルビジネス」「人的資本・サステナビリティ」「財務・会計」「法務・リスクマネジメント」と定めております。これらの知識・経験・能力について、各取締役及び監査役に対して特に期待する分野は下表のとおりです。なお、この表は取締役及び監査役が有するすべての知識・経験・能力を表すものではありません。

企業経営 研究開発・
製造
営業 グローバル
ビジネス
人的資本・
サステナビリティ
財務・会計 法務・
リスクマネジメント
取締役 楠瀬 治彦
岡林 理
仙洞田 哲也
森泉 幸一
三澤 祐太朗
田島 敦
三原 康司1
上出 邦郎1
岩田 宜子1
監査役 浅見 公一
石黒 美幸2
出雲 栄一2
  • 1.独立社外取締役
  • 2.独立社外監査役

責任限定契約

当社は、各社外取締役および各社外監査役との間において、会社法第427条第1項および定款の規定に基づき会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、その責任限度額はその職務を行うにあたり善意でかつ重大な過失がないときは法令に定める最低責任限度額としております。

(ハ)内部統制システム構築の基本方針

I. 業務の適正を確保するための体制

当社は、会社法および会社法施行規則に基づき、取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制などについて以下のとおり整備する。

1. 取締役、執行役員(以下、取締役等という)、および従業員の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
  1. 1当社の経営上の重要事項は、法令、定款および取締役会規定に基づき、毎月開催する定例取締役会および必要に応じて開催する臨時取締役会に付議される。
  2. 2代表取締役の諮問機関である経営会議については、経営会議規定により監査役および社外取締役の出席権を保障し、議事に関し意見を述べることができるものとする。
  3. 3監査は、法定監査のほか、社長執行役員直属の監査部門が内部監査規定に従い内部監査を実施し、是正が必要な事項については、社長執行役員が被監査部門の責任者に対して是正措置およびその結果報告の指示を行う。
  4. 4コンプライアンス全般の管理については、コンプライアンス管理規定に基づいて、コンプライアンス担当執行役員を置き、コンプライアンス管理に関する当社の基本方針を明確にするとともに、コンプライアンスにかかわる問題に取締役等および従業員が直面した場合の対応上の基本義務、業務遂行上の公正な行動や判断・評価の基準となるべき管理・行動基準、組織としてのコンプライアンス管理および内部通報体制の制度化等を明確にし、適正な運用をはかる。
  5. 5従業員が遵守すべき法令や、社内ルール等に関する研修を企画、実施し、コンプライアンスの周知徹底を図る。
  6. 6財務報告の信頼性に影響を与える業務上の不備、不正を防止するため、経理その他財務報告に直接または間接的に関係する業務の統制体制の改善を継続する。
2. 取締役等の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
  1. 1取締役等の職務執行に係る意思決定および報告に関しては、決議・執行事項の所管に応じ取締役会規定および経営会議規定に基づき、取締役会議事録および経営会議議事録に記録し、法律および規定に定める期間保存する。その他の業務決裁事項に関しては、決裁規定に基づき決裁書類を作成し、規定に定める期間保存する。
  2. 2業務にかかわる文書の整理、保管、保存および廃棄の取り扱いは、文書管理規定に従うものとし、文書はいつでも取締役等および監査役の閲覧、会計監査人の監査等に供することができるよう整理しておくものとする。
  3. 3文書、電磁的記録および情報システム等を情報資産として安全に保護する体制に関しては、情報セキュリティ管理規定に基づいて管理する。
3. 当社および子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  1. 1事業遂行に伴う損失の危険については、事業の経営計画および予算の策定において適正に評価し、損失の有無、程度等の判断については、毎月の取締役会および経営会議において必要に応じ審議し対策を決定する。また、資金の運用等については、経理規定等に基づき適正な運用をはかるとともに、その運用実績については定期的に取締役会に報告する。
  2. 2天災、病疫その他不可抗力による会社資産の損失や人身に対する危険の発生等、危機状態への対応については、危機管理規定に基づいて、社長執行役員を本部長とした対策本部をただちに設置し、損失の顕在化および拡大防止をはかり、損失を最小限に止める体制をとる。
4. 取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  1. 1取締役会の意思決定・業務監督機能を充実させるため社外取締役を選任するとともに、執行役員制度を導入し、業務執行取締役(執行役員を兼務する)の職責を強化し、業務執行における意思決定過程の簡素化をはかることにより、経営環境の変化に機敏に対応し、業績の持続的向上を目指すものとする。
  2. 2業務の運営においては、組織規定および職務分掌規定に基づき各部門の職務分掌を明確に定め、また、職務権限規定および決裁規定に基づき職位者の業務遂行上の責任と権限を明確にすることにより、業務の確実かつ効率的な運営を行う。
5. 当社および子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
  1. 1子会社の経営管理については、関係会社管理規定に基づき管理統括者を置くものとし、各子会社の業務は、子会社の取締役等が管理統括者の管理・指導の下、必要に応じて当社内関連部門の協力を得て、職務が効率的に遂行できる体制をとる。
  2. 2当社の関係会社管理規定に定める各子会社にかかわる重要事項については、各子会社の代表者または管理統括者が指名した子会社の役職者が必要に応じて当社の取締役会に報告をする体制をとる。
  3. 3当社のコンプライアンス管理規定に基づき、子会社の取締役等及び従業員の職務の執行が法令及び定款に適合するよう、管理統括者の指導・監督を受ける体制をとる。また、内部通報制度は子会社にも適用する。
6. 監査役の職務を補助すべき従業員に関する事項および当該従業員の取締役等からの独立性に関する事項並びに当該従業員に対する指示の実効性の確保に関する事項
  1. 1監査役より、補助すべき従業員の要請がある場合には、迅速に必要なスタッフを置くものとする。その場合、スタッフの任命、異動、評価等に関しては、監査役会の事前の同意を得るものとする。
  2. 2監査役は当該スタッフに対して、監査業務に必要な事項を指示することができるものとし、当該スタッフは監査役の指示に反して、取締役等の指揮命令を受けない。
7. 当社および子会社の取締役等および従業員が当社の監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制並びに当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
  1. 1当社および子会社の取締役等および従業員は、会社に重大な損失を与える事項が発生し、または発生するおそれがあるとき、あるいは役職員による違法や不正を発見した場合は、すみやかに当社の監査役に報告するものとする。
  2. 2当社の監査役は、取締役会のほか、重要な意思決定の過程および業務の執行状況を把握するため経営会議等の重要な会議に出席するとともに、主要な決裁願その他業務に関する重要な文書を閲覧し、必要に応じて当社および子会社の取締役等および従業員に職務執行に関する報告を求めることができるものとする。
  3. 3当社の監査役への報告に関してはコンプライアンス管理規定の通報者保護規定を適用し、当該報告を行った当社および子会社の取締役等および従業員に対し、当該報告をしたことを理由として解雇、契約解除その他いかなる不利な取り扱いを行わないものとする。
8. 監査役の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続きその他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項

当社は監査役の職務の執行について生ずる費用等を支弁するための予算を計上するほか、監査役から必要な前払い等の請求があった場合には、速やかに当該費用または債務を支払うものとする。

9. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
  1. 1監査役は代表取締役との定期的な意見交換会を開催し、適切な意思疎通および効果的な監査業務の遂行をはかるものとする。
  2. 2監査役は監査法人および監査部門との連携をはかり、適切な意思疎通および効果的な監査業務の遂行をはかるものとする。

II. 反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方および体制整備について

当社は、業務の適正を確保するための体制の一環として、以下の通り反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方を明確にし、その体制を整備しております。

  1. 1当社は、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力と一切の関係をもたないことを基本方針とし、すべての役員・従業員に対して、反社会的勢力およびこれらと関係のある個人や団体の利用、これらへの資金提供や協力、加担など一切の交流・関わりをもつことを禁止する。
  2. 2反社会的勢力に対する対応は総務部門が総括し弁護士、所轄警察署と連携して対処する。
    1. (1)反社会的勢力の関係者から接触を受けた時はただちに警察等のしかるべき機関に情報を提供するとともに、何らかの要求を受けたときは毅然とした姿勢で組織的かつ法的に対処する。
    2. (2)企業防衛対策協議会への加盟を継続し、平素から関連情報を収集して不測の事態に備え最新の動向を把握するよう努める。

2. リスクマネジメントについて

当社グループでは、事業活動継続に関わる様々なリスクを分類し、それぞれのリスクについて起こりうる事象と対応策を特定しています。また、各リスク項目について担当責任者を任命して適切な対応に当たるとともに定期的な見直しを実施し、リスクが顕在化した際にも業務への影響を抑え、お客さまへの供給責任を果たすために事業継続計画(BCP)の継続的な改善に取り組んでいます。

具体的な取組みとしては、例えば本社においては、東日本大震災の教訓を踏まえ、震度6以上の地震への対応策を取りまとめ、業務の早期復旧への対応マニュアルを策定しました。また、新型コロナ感染症の拡大を踏まえ、感染症対策を抜本的に見直し、テレワークを導入するとともに、感染防止策や感染時対応、海外出張の方針などを文書化して社員に周知し、状況の変化に応じて実効性を維持するためのアップデートを適宜行っております。海外拠点においても、感染症並びに現地で想定されるその他の重大なリスクに対する対応方針の策定やマニュアルの整備などを実施しています。

3. 監査役監査および内部監査の状況

監査役監査の状況

監査役会は監査役3名(定款では4名以内)で構成され、うち2名を社外監査役とし、法令・定款で定められた事項のほか、監査方針、監査計画、監査方法等を定め、各監査役の監査状況の報告、監査意見の形成などを行っております。監査役会は毎月1回(定例)開催するほか、必要に応じて臨時開催しております。

監査役は、監査役会で定めた監査方針、監査計画等に従い、取締役、内部監査部門である監査室等と意思疎通を図り、情報の収集および監査の環境の整備に努めるとともに、取締役会、経営会議への出席、その他の会議への積極的な参加、取締役等からの職務執行状況の報告の聴取、重要な決裁書類等の閲覧、業務および財産の状況の調査、内部統制システムの監視および検証等により厳正な監査を実施しております。また、監査役は、期初に会計監査人から監査計画書を受領し、意見交換会を定期的に実施、また各四半期レビューおよび期末の監査結果報告を受け、積極的に意見交換および情報交換を行い、効率的な監査の実施を図っております。また、監査役の要請により補助者を1名置いております。

内部監査の状況等

内部監査は社長直属の監査室(1名)が内部監査規定に従い年間の業務監査計画を作成して業務監査を遂行し、日常業務の問題点を把握し社長へ報告するとともに、監査役会との連携を深めて指摘、改善勧告等、実効ある内部監査の実現を目指しております。

監査室は、内部監査の結果について会計監査人と定期的に意見交換を行っております。

コーポレート・ガバナンス報告書