業績報告

すべての面で過去最高の業績を更新

2021年8月

2021年6月期(当期)は、前期に引き続き、売上、利益、受注、受注残、すべての面で過去最高を更新しました。あらゆる用途で拡大を続ける半導体需要と、最先端の半導体製造ライン向けで普及が進むEUVリソグラフィが追い風となり、中期経営計画フェーズ3の3年間で大きく飛躍することができました。

2021年6月期(当期)の業績について

最先端の半導体製造ライン向けでEUV(極端紫外線)リソグラフィの導入がさらに進み、EUVに関連した製品が業績に大きく貢献しました。背景としては、まずコロナ禍で広がったリモートワークやオンライン会議の利用が挙げられます。皆さまがお使いになるパソコンの需要が増えましたし、通信やデータ処理のインフラとしてデータセンターで使われるサーバーの需要も拡大しました。移動通信の分野でも5G(第5世代移動通信システム)の携帯電話や通信設備が普及し始めています。これらは最先端の半導体を必要としますので、半導体デバイスメーカー各社も積極的に投資を行っており、当社の事業環境はとても良い状況が続いています。

当期の業績としましては、売上高が702億48百万円(前連結会計年度比65.0%増)、営業利益が260億74百万円(同73.1%増)、経常利益が264億38百万円(同74.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が192億50百万円(同77.9%増)となりました。さらに、受注高は1,129億4百万円(同40.8%増)、期末受注残高は1,358億19百万円(同45.8%増)となり、すべての面で過去最高額を更新できました。

中期経営計画フェーズ3※1終了

フェーズ3は当社にとって芽吹きと収穫開始の時期でした。以前から新規事業として取り組んできたEUV関連やウェハ関連の製品が大きく業績に貢献し始めて、フェーズ2とフェーズ3の各最終年度(2018年6月期と2021年6月期)を比べると、売上が3.3倍、営業利益が4.6倍と事業を大きく成長させることができました。個別の製品では、EUVマスクとDUVマスクの両方を検査できる「MATRICS X8ULTRA」が最先端のロジックデバイスメーカーやDRAMメモリメーカーのお客さまから大変ご好評をいただき、当社を成長させる原動力になりました。

あらためてフェーズ3の期間を振り返りますと、当社にとって大事な新製品の発表が毎年ありました(下表参照)。

発表年月 新製品
2018年11月 マスクブランクス欠陥検査/レビュー装置「MAGICS M9650/M9651」
2019年9月 アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置「ACTIS A150」
2020年1月 ハイブリッドレーザーマイクロスコープ「OPTELICS HYBRID+
2021年6月 マスクエッジ検査装置「MZ100」

当社のマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置MAGICSシリーズは、長年にわたり業界標準機としてご愛顧いただいてきました。その最新機種となる「M9650/M9651」は、今後も進むEUVマスクブランクス、DUVマスクブランクスの高品質化にさらに寄与してまいります。

アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置「ACTIS A150」は、当社が世界で初めて製品化に成功した、EUV光を用いたEUVマスク検査装置です。現在はDUV光を用いた「MATRICS X8ULTRA」によるEUVマスク検査が主流ですが、今後半導体の微細化が進んでいくと、より高感度でEUVマスクに特有の転写性位相欠陥が検出できる「ACTIS A150」が活躍する場面が広がりますので、業績への大きな貢献を期待しています。

マスクエッジ検査装置「MZ100」は、従来管理されていなかったマスクエッジ部の欠陥検査を行うことで、EUVおよびDUVマスク製造プロセスの歩留まり向上や高品質化に寄与することを目的とした新機軸の製品です。今後ともお客さまのご要望に真摯にお応えして、当社独自のソリューションを提供してまいります。

ハイブリッドレーザーマイクロスコープ「OPTELICS HYBRID+」はレーザー顕微鏡の最新機種です。当社は長年レーザー顕微鏡を取り扱い、これまでも多様な産業の研究開発や品質保証の部門で使用されてきました。本製品は検査に顕微鏡が用いられる研究開発と、専用の検査装置が用いられる量産プロセスの隙間をターゲットにして、自動搬送および自動測定・自動検査の機能を向上させた製品です。研究開発から量産プロセスへのスムーズな移行をサポートします。

上記以外にも対外発表をしていないプロトタイプ製品がいくつかあり、それらすべてがお客さまからご要望をいただいて開発を進めているものです。フェーズ3の期間には当社がビジョンとする「世界中のお客さまから真っ先に声をかけていただける会社」に一歩近づけたのではと考えています。

2022年6月期(今期)からフェーズ3+※2始動

前フェーズ3から取り組んでいる施策をさらに強力に推進していくために、今期から始まる中期経営計画をフェーズ3+(プラス)と名付けました。中長期的に成長機会を最大限に捉えるために、経営基盤の強化に注力しお客さまのご要望にお応えしてまいります。

当社のお客さまは主に半導体産業ですが、半導体不足といわれるほど底堅い需要を受けて、足元では設備投資が非常に活発です。これは前段で触れたように、リモートワークやオンライン会議を支えるデータセンターで使われるサーバーを中心とするHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)や、5G向けの需要が牽引しています。そのほかにもAI(人工知能)、IoT(さまざまなものがインターネットにつながる)、ADAS(先進運転支援システム)など幅広い用途で半導体が使われるようになっており、将来にわたって半導体需要が拡大すると予想されています。加えて、米中摩擦と相まって地政学リスクが懸念され始め、米国、EU、日本では半導体工場の域内新設に向けた企業誘致や補助金の議論が活発になっています。半導体デバイスメーカーはこれまで特定の国で集中投資を行っていましたが、今後はさまざまな国での分散投資が進むと見込まれております。分散することで必要な装置数や投資額が増えますので、半導体製造装置メーカーにはプラス要因です。また、最先端の半導体プロセスには従来以上の投資額が必要で、これも最先端分野に注力する当社には追い風となっています。

このような事業環境の中、当社の課題は、お客さまからの難易度が高いご要望に応え、事業投資拡大のペースにしっかりとついていくことです。そのためには前フェーズ3から強化に取り組んでいる研究開発ならびに装置立ち上げ体制、サプライチェーン、グローバル・サービス体制をさらにレベルアップする必要があり、フェーズ3+でも「経営基盤の強化」を最重要課題として取り上げています。

一方で、当社が持続的な成長を実現するには新規事業や新製品が欠かせませんので、「成長機会の追求」も引き続き課題として挙げています。これまでも顕微鏡ビジネスをアンテナとして多様な産業でビジネスチャンスを捉え、SiCウェハ欠陥検査/レビュー装置「SICA88」や電気化学反応可視化コンフォーカルシステム「ECCS B310」(リチウムイオン電池の電気化学反応を観察・計測するシステム)などの新規事業を創出してきました。今後も現在主力とするマスクブランクス/マスク検査の領域にとどまらず、当社が強みを発揮できお客さまひいては世の中に貢献できる分野とアプリケーションを積極的に探し、成長に結び付けてまいります。

株主の皆さまへ

おかげさまで、5期連続で過去最高の業績を更新することができました。今期から始まる中期経営計画フェーズ3+で直面している課題を一言で表現しますと、「事業成長のジレンマ」です。好調な事業環境に支えられ、新規事業も芽吹いて成長機会にも恵まれておりますが、チャンスを着実に業績に結び付けていくためには現在の会社組織では不十分です。今後とも株主の皆さまのご期待に応えて事業を成長させるべく、国内外で優れた人材の獲得と育成を加速して、フェーズ3+の期間に組織を飛躍的に強化してまいります。株主の皆さまにおかれましては、変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • ※12018年7月1日~2021年6月30日
  • ※22021年7月1日~2024年6月30日