業績報告

2026年9月

当期の業績と事業環境

当期における世界経済は、地政学リスクの高まりに伴うエネルギー価格の上昇やサプライチェーンへの影響により、先行き不透明感が一層強まりました。

当社グループの主要販売先である半導体業界では、エージェント型AIの実装・普及に向けた旺盛な投資を背景に、AIデータセンター関連需要が一段と高まりました。こうした市場環境のもと、CPUやGPU、HBM(広帯域メモリ)など先端半導体への高水準の需要が市場の成長を牽引しました。

このような状況下、当社グループの受注高は2,375億4百万円と前期の1,052億26百万円から回復しましたが、前期の受注高の影響から連結売上高は2,304億85百万円(前連結会計年度比8.3%減)となりました。

品目別に見ますと、半導体関連装置が1,680億90百万円(同17.2%減)、その他の製品が37億47百万円(同32.5%減)、サービスが586億46百万円(同36.5%増)となりました。

連結損益につきましては、営業利益が1,052億59百万円(同14.3%減)、経常利益が1,078億95百万円(同9.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が774億85百万円(同8.5%減)となりました。

当期の配当

当社は、連結での配当性向35%を目安として、業績に応じた弾力的な配当政策を行うことを利益配分に関する基本方針としております。

内部留保は新技術・新製品の研究開発投資や優秀な人材の獲得などへ有効に活用し、企業体質の一層の強化と長期安定的な経営基盤の確立につなげていく方針です。この方針に基づき、当期期末配当金は1株当たり197円、年間配当金は前期と同額の329円(連結配当性向38.1%)とさせていただきました。

注目の新製品

当期はマスク関連分野で三つ、顕微鏡分野で一つの新製品を発表いたしました。

マスク関連分野の一つ目の製品は、アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置 ACTIS A200HiTシリーズです。本製品は光学設計の最適化と検査システムの刷新により、従来機ACTIS A150比で3倍の検査速度を達成し、スループットが大幅に向上しました。ウェハファブで発生するすべての転写性欠陥を検出する感度を実現しており、EUVマスクの受入検査および定期的な品質確認検査に使用され、より高い生産性によるマスク検査コストの低減を通じて歩留まり向上に寄与する製品です。

二つ目のマスク関連分野の製品は、マスクブランクス欠陥検査/レビュー装置 MAGICSシリーズM9750/M9751です。EUVマスクの技術革新が進む中、マスクブランクス検査にもより一層の高性能化・高機能化が求められています。M9750/M9751はMAGICSの基幹技術をもとに、検査光学系を刷新するとともに、マスクパターン検査装置で培った高速検査回路技術を採用することで、微小欠陥の欠陥検出感度が大幅に向上しました。また、高精度X-Yステージの搭載により、EUVマスク製造に必要な欠陥座標の出力が可能になりました。

三つ目の製品は、マスク欠陥検査装置MATRICS X712シリーズです。ロジック、アナログ、ディスクリート、パワーデバイスなど多様なアプリケーションにおいて、>250nm~90nmクラスのデザインノードは依然として幅広く活用されており、マスク検査にも高感度・短時間・低運用コストが求められています。本製品はこのようなニーズに対応すべく、MATRICSで培った光学系・画像処理・ユーザーインターフェース技術を基盤に開発しました。266nmレーザーと専用アルゴリズムにより、DDB/DD/SDの最大3モードを用途に応じて組み合わせることで、効率的な検査を実現するとともに、マスク1枚当たり最短22分の高速検査を可能にしました。

顕微鏡分野での新製品は、超短パルスレーザー励起顕微鏡 OPTELICS UXMです。本製品は、ワイドバンドギャップ(WBG)化合物半導体のウェハに存在する内部欠陥の三次元構造を非破壊で評価できる装置です。近年、WBGウェハの高品質化が進む中で、欠陥の詳細な形状やその発生原因を評価・解析するツールの需要が高まっています。本製品はウェハ内部に存在する欠陥構造の解析結果を製造工程に反映することで、WBGウェハの製造工程の改善・最適化、歩留まり向上に貢献します。

今後の取り組み

現在の半導体市場を牽引している最大の要素はAIです。AIは特定の業界だけではなく、医療、金融、製造業、自動車など、あらゆる産業で活用の場が広がっており、生産性向上や新たな価値創出を支える社会インフラとして、その重要性はますます高まっています。

AIの普及に伴い、ハイパースケーラーによるデータセンターやAI関連設備への巨額投資が続いており、データ処理を担うCPUやGPUなどのロジック半導体に加え、データを一時的もしくは永続的に保存するDRAM、HBM、NANDといったメモリー半導体の需要が急増しています。こうしたAI需要の高まりを背景に、当社のお客さまの投資計画も拡大し、当期の受注高は2,375億円と前期の1,052億円から大幅に回復した1年となりました。

AI技術は、大量のデータを学習し、テキスト・画像・音声・動画などの新しいコンテンツを自動的に作成する「生成AI」から、与えられた目標を達成するために自ら計画を立て、情報を収集し、タスクを自律的に実行する「エージェント型AI」へと進化してきました。また、中期的には自動運転や産業ロボットなど、データをクラウドに送らず、手元の端末で処理する「エッジAI」の成長も見込まれています。

この進化を支える半導体には、微細化、新材料、新構造の技術トレンドを通したさらなる高性能化が求められています。半導体の技術革新が進む過程で、各分野においてお客さまの課題やニーズをいち早く捉え、その期待に応える製品・サービスを提供し続けることにより、中長期的にも大きな成長機会があると考えています。

お客さまからさらなる信頼を獲得し、今後のビジネス拡大につなげるためにも、誠実かつスピーディーな対応に一層磨きをかけてまいります。今後も外部環境の変化に柔軟に対応しつつ、お客さまの満足度向上と中長期的な企業価値の向上を目指し、中期経営計画を着実に推進いたします。