2018年6月期(第56期)の業績

好調な市場環境にも恵まれ、前期に続き、売上、利益ともに過去最高を更新できました。

半導体市場においては、総じてメモリーメーカーの投資が活発であり、大手ファウンドリも回路線幅が10nmから7nmノードへ対応する設備投資を継続しました。このような環境下、当社は大手ファウンドリ向けを中心に、半導体マスク欠陥検査装置の売上が好調でした。また、新規事業として注力しているウェハ関連の検査装置の売上が拡大しました。

当期の業績は、売上高212億52百万円(前連結会計年度比23.0%増)、営業利益56億85百万円(同16.0%増)、経常利益57億6百万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益43億66百万円(同23.5%増)となりました。

受注面では、次世代の露光技術であるEUVL(極端紫外線リソグラフィ)関連製品の受注が大きく伸びるとともに、半導体関連の新製品で大型受注を得たため、当期受注額は前期をさらに大きく上回る428億80百万円(同69.4%増)を達成しました。

新中期経営計画フェーズⅡが終了。フェーズ0からフェーズⅡの9年間を振り返って

新中期経営計画は、リーマンショックの影響を受け赤字に陥った2009年6月期(47期)を踏まえ、いかに会社を立て直すかを考え、48期を初年度とする計9カ年(後に12カ年に延長)の経営計画として策定したものです。この9年間で、計画前に比べ売上で2倍以上、時価総額で10倍以上と、当社は大きく成長することができました。

フェーズ0(48~50期)では、まず赤字からの脱却が最重要課題でした。経費の見直しと削減を行い、同時に原価管理を徹底しました。一方で組織改革に取り組み、半導体、液晶、顕微鏡と分かれていた組織の垣根を取り払い、技術部門を一つに集約することで、技術者間のコミュニケーションが改善され、人材の適正配置を行えるようになりました。事業面では、「当社の強さが発揮でき、我々が成長できる分野に経営資源を集中する」方針のもと、半導体関連事業を中核事業と位置付けてリソースを集中させました。このような取り組みにより、3年目の50期には営業利益率が25%となり収益性は大幅に改善しました。

この間には、台湾地域での販売、サポート力強化のため現地法人Lasertec Taiwan, Inc.を設立、また、パワー半導体用材料として注目を集めているSiCウェハの欠陥検査/レビュー装置SICA61を製品化するなど、新たな成長のための種まきも行いました。

フェーズⅠ(51~53期)の3年間は、「新たなる挑戦」の時期と位置付け、「コアビジネスの強化」と「新規事業の柱を立ち上げる」を目標としました。

「コアビジネス」では、それぞれの市場において革新的で競争力のあるモデルを発表できました。半導体マスク欠陥検査装置では、高い解像度を持つMATRICS X810/X810HiTを発表、半導体メーカーのウェハファブにおける検査用途で大きな市場シェアを取ることができました。半導体マスクブランクス欠陥検査装置では、より短波長のレーザー光源を採用したMAGICS M8350/M8351を発表し、業界スタンダードの地位をゆるぎないものとしました。

「新規事業」では、半導体の新たなプロセスやアプリケーションの潮流を捉えて、積極的に新製品のマーケティングと開発を行いました。この期間に、先端メモリーのウェハ面内の均一性を高速で検査するリソグラフィプロセス検査装置LX330や、3次元積層デバイスのTSV(貫通電極)工程でのウェハ裏面研磨プロセス測定装置BGM300を発表し、新たな市場を開拓しました。加えて、EUVL技術の開発が進む中、新たなニーズに着目したEUVマスク裏面検査/クリーニング装置BASICを発表しました。新規事業領域への進出としては、リチウム電池の充放電中の電気化学反応を可視化するECCS B310を発表しました。BASICが電子デバイス産業新聞の「半導体・オブ・ザ・イヤー」を、ECCS B310が日刊工業新聞の「十大新製品賞」をそれぞれ受賞するなど、広く当社製品の革新性や技術力が認められました。

当社は2013年3月に東証一部銘柄に指定され、また53期の配当より連結配当性向の目安を従来の30%から35%に引き上げ、株主さまの期待にお応えしました。

フェーズⅡ(54~56期)の3年間は、「新規事業の基盤を確立する」時期と位置付けました。

この期間「コアビジネス」では、半導体マスク欠陥検査装置において着実に市場シェアを拡大できました。2016年、最先端の10nm~7nmノードに対応したMATRICS X810EXを市場投入し、2018年には間近に迫ったEUVリソグラフィの実用化に備え、従来のフォトマスクとEUVマスクの両方が検査できるモデルX8ULTRAを発表しました。FPD分野では、10.5世代と呼ばれる超大型パネルを量産するFPDパネル製造工場が中国で相次ぎ建設されることを受け、高感度でかつ10.5世代パネル用マスクにも対応するCLIOS G1001を発表しました。

「新規事業」では、ウェハエッジ検査装置EZ300やSiCウェハ欠陥検査/レビュー装置の新モデルSICA88を発表し、新規事業のラインアップを拡充しました。またEUVL関連製品を新規ビジネスの柱とするべく、2017年にEUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置ABICS E120を発表、すでに複数台の受注を獲得しています。ABICS E120は、日刊工業新聞や電子デバイス産業新聞の賞を受賞し、世界初の13.5nmのEUV光源を用いた画期的な検査装置として世の中に認められました。

この期間、大きな成長が見込まれる中国市場における当社製品のサポート強化を目的に、現地法人Lasertec China Co., Ltd.を設立しました。また、56期より中間配当の実施を始め、より株主さまへの利益還元の機会を充実させました。

このように振り返ると、9年の間にいろいろなことがありましたが、高収益体質へと変革し、売上、利益を順調に伸ばすことができ、大きな成果を挙げることができたと考えます。

フェーズⅢ始動。フェーズⅢでの目標

半導体産業は今後さらに大きな変化と成長を遂げることが予想されます。 この市場の大きな変化を捉え、飛躍を目指します。

仮想通貨マイニングやフィンテックで重要となるHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、5G(第5世代移動通信システム)、AI(人工知能)、IoT(さまざまなものがインターネットにつながる)、ADAS(先進運転支援システム)などの需要が高まり、これらの新技術には莫大な量の半導体が使われることから、半導体の需要は将来にわたって加速度的に増大していくことが予想されます。

この成長する半導体市場で、さらに伸びていく先端分野に注力することで、成長する市場の中でもより大きな成長を目指します。特にフェーズⅢの期間では、フェーズⅡまでに種まきをしたEUVL関連やウェハ検査関連の製品がいよいよ収穫期に入ります。「コアビジネス」を成長させるとともに、「新規事業」の収穫を確実なものにして、当社の躍進につなげていきたいと考えています。

さらに、製品の納入後も世界中のお客さまに安心して使っていただくために、サービス(保守)の重要性をより強く認識しており、グローバルに体制を強化していく方針です。

株主の皆様へ

おかげさまで、売上、利益、受注、受注残、すべての面で2期連続過去最高を更新することができました。フェーズⅢに入る今期以降、一層成長スピードを加速させ、株主さまのご期待に応える所存です。

レーザーテックは、どこよりも早くお客さまのご要望にお応えできる製品を開発し、お客さまに貢献すると同時に、業績の向上を目指してまいります。株主の皆さまにおかれましては、変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

2018年8月
代表取締役社長 岡林 理